耐風姿勢の意味 登山用語

耐風姿勢(たいふうしせい)

耐風姿勢とは、冬山登山特有の強風や突風から体を守るための技術。

耐風姿勢の取り方は、@ピッケルのシュピッツェ(石突き)を地面に垂直に突き刺し、胸をピッケルに押し付ける。A両足とピッケルで二等辺三角形を描くようなイメージで、腰を落として足を均等感覚に開く。B顔は常に正面を向く。落下物などが落ちてくるのを避けるためである。

冬山登山ではアイゼンワーク、滑落停止技術とともに重要な技術であり、突風が吹いた時に瞬間的に動作できるようになっていなければならない。特に雪山では山頂に近くなるほど、雪が氷になっていてピッケルが刺さらないこともある。

たとえば、富士山は、夏山は初心者でも登頂できてしまうほどであるが、冬山になると様相は一変する。「白い魔境」「恐怖の雪山」「難易度はエベレスト並」とも言われる。単独峰ゆえに周囲に障害物となる山がなく、風が直接富士山に吹きつけるので、雪が飛ばされ氷が形成され、たとえアイスアックスであっても刺さらないほどの固い氷(アイスバーン)が形成される。加えて風も山頂付近では渦巻いているため、上からの突風に対して耐風姿勢をとっても下から風が吹き付けてきて、体を飛ばされることもある。そのためエベレスト登山を目指す登山家は冬富士で訓練するという。