非対称山稜(ひたいしょうさんりょう)
非対称山稜とは、山稜を境として、両側の斜面の地形が非対称である様子をいう。非対称山稜は大雪山や北アルプスに見る事が出来る。白馬三山では、東側斜面は急斜面になっておりほとんど山肌がむき出しになっており植生がみられない。またカールなどの氷河地形もみられる。
一方、西側斜面は東側に比べるとなだらかであり植生も見られる。このような左右非対称の地形が形成される理由は、北アルプスの場合は、冬季の季節風が影響していると言われる。日本海の湿気をたっぷり吸った雪雲が山脈にぶつかることで雪を降らせ、また冬の季節風は強風でもあるので、風上側にあたる西側は雪が強風によって吹き飛ばされて、斜面は凍結し、凍結した岩盤は破壊し同時に土壌も流出し、融解と同時に土壌が再び流出する(…こういうサイクルを周氷河作用という)という浸食作用によって地表がなだらかになっていく。
一方、西側から吹き飛ばされてきた雪は、山稜で雪庇となり、やがて崩壊して東側に雪崩となちて落ちていく。こうして東側斜面には大量の雪がもたらされると同時に、吹き溜まりも形成される。こららの積雪は重みでゆっくりと滑っていき、ときには全層雪崩を発生させることもある。この雪の浸食作用によって斜面が削られてカールや急斜面を形成してきたと言われている。西側斜面では程度の土壌が残るので植物がある程度植生できるが、東側斜面では絶え間ない浸食作用により土壌が流出しており、植物が生育する環境ではないことから植生が見られないのである。