氷河甌穴の意味 登山用語

氷河甌穴(ひょうがおうけつ)

氷河甌穴とは、氷河から溶けだしたものが水になり、この水が氷河に浸透すると浸食が始まり、氷河と地表が接するところまで到達すると穴が出来上がる。

この氷河甌穴が出来上がると溶けながら移動していくので、氷河に亀裂が入ることもある。そして氷床から溶けだした水はその亀裂に流れ込み、滝のようになる。グリーンランドの氷河は温暖化により氷河の融解が進んでおり、それによって溶け出た水が氷河甌穴を形成し、氷河融解のスピードを早めていると言われている。氷河がある場所ならどこでも形成される。

スイスのツェルマットの氷河公園には氷河によって形成された氷河甌穴を見ることができる。現在は氷河はないので地表にむき出しになっている。なお、甌穴とは河底などの硬い岩盤でも少しでも割れ目があるとそこに水流が入り込んで浸食が始まり、くぼみが形成される。この水流には礫(小石)が含まれており、水流がくぼみに流れ込むと渦を巻くように回転する時、礫も一緒にくぼみの中を回転するため、くぼみが拡大し、円形の穴に拡大する。穴の直径や深さは浅いものから深いものまでさまざまである。