V字谷の意味 登山用語

V字谷(ぶいじだに)

V字谷とは、激しい水流がによって川岸や川底がえぐられた地形で、アルファベットの「V」字のように見えることからV字谷と呼ばれている。このV字谷は一度に形成されるものではなく、長い年月をかけて形成される。また、激しい水流は浸食作用が激しいので、運び出された土砂は下流で堆積して扇状地を形成することがある。

日本で代表的なV字谷として黒部峡谷(富山県)が挙げられる。飛騨山脈を立山連峰と後立山連峰に分断する大規模な峡谷であり、日本三大渓谷の1つである。この黒部峡谷を川沿いに歩く「下ノ廊下」という断崖絶壁の登山道があり、通行できる時期は9月〜10月の雪が溶けた時期に限られている秘境ルートでもある。登攀などはないが、距離が長いので経験者向きである。

なお、似たような言葉でU字谷(フィヨルド)があるが、こちらは氷河によって地表が削り取られた地形のことで、V字谷と比較するとなだらかな谷が特徴である。U字谷は日本にはなく、ヨーロッパアルプスやロッキー山脈などのかつて氷河あった地域にみられる。VとUで混同しやすいが、形成条件が異なる。