V字スレッド
V字スレッドとは、アイスクライミングでの支点確保技術で、スクリューなどでV字に氷壁に穴を開けて、そこにロープを直接通したりして支点確保するもの。日本ではV字スレッドと呼ばれるが、海外ではアバラコフと呼ばれている。これは、旧ソ連時代の登山部門のプロフェッサーであったアバラコフの名前をとってこう呼ばれている。
ヨーロッパでアバラコフが急速に広まったのは2000年代初めと言われる。当時、旧ソ連の登山家が道具を使わずにいるのを貧しいから、と思われていたが、ある日アルプスでアイススクリューによる転落事故が頻発し、アバラコフを試したら、はるかに強度が強いことが分かったのがきっかけとされる。スクリューの場合、スクリュー1本を打ち込んだ時は強度があっても、やがて太陽の光が当たると金属であるスクリューが熱を集め、その熱が周囲の氷に伝わって、氷が融けはじめスクリューが抜けやすくなるのである。
一方、V字スレッドは穴を開けるだけで、氷は穴を埋めようと締まるので、スクリューより強度ははるかに強いとされる。また装備の軽量化につながることから、世界中のアイスクライマーに支持されている。