扁形樹(へんけいじゅ)
扁形樹とは、常に一定方向から吹きつける強風の影響により、枝が一方向にだけ伸びている樹木のことをいう。
周囲に遮るものがない場所では、樹木に強風が直接吹き当たることになり、風上側は乾いた冷たい風を常に受けているため、樹木内の水分の蒸発作用が促されやがて水分不足になり、枝葉の生育が悪くなる。その分、風下側の枝葉がぐんと成長するので、結果的に左右非対称の樹木となるのである。吹き流し型の扁形樹が多い。扁形樹をみて、風が一定方向に吹いていることを知ることができるのである。
風といっても普通の風ではなく、季節風といった強い風なのである。同じ山であっても地形により、稜線上なとでは強風に常にさらされていることから扁形樹がみられるのに対して、谷間近くの森林では山によって風が遮られるため強風に吹きつけられることなく、正常な木が立っていることがある。なお、変形樹とも表現されることがあるが、ただの変換間違いなのか明確な違いがない。木の変形という意味では、雪崩による木の変形が豪雪地帯や雪崩多発地帯には見られる。