山抜け(やまぬけ)
山抜けとは、山崩れと同義語である。地滑りや土石流とは異なり、いわゆる斜面崩壊現象であり、「岩屑すべり」「岩石すべり」「岩屑なだれ」「山体崩壊」などがある。
「岩屑すべり」は、表層の岩屑が斜面をすべり落ちる現象、「岩石すべり」は、基盤岩から岩盤が?がれてすべり落ちる現象、「岩屑なだれ」は、岩盤や岩屑が一挙に崩れて高速で斜面をすべり落ちる現象、「山体崩壊」は、火山活動によるもの、などがある。
誘発要因は長雨や集中豪雨による地盤の緩み、そして既述のとおり火山活動がある。年間降雨量が多くて地形が急峻な日本では、山崩れが発生しやすい。たとえば、長野県小谷村にある稗田山は、1911年8月8日に稗田山崩れという大規模な土砂災害を引き起こし、20世紀では最大の規模であった。稗田山直下には浦川と姫川があり、山崩れの際には浦川を埋め、姫川の合流支点まで達し、更には天然ダムを形成したが、この天然ダムの堤防が決壊して大量の土砂が流出し、糸魚川市の河口まで土砂が流れ、姫川沿いの住宅はおろか、田畑も耕作不能、姫川が流れ込む海域は魚が大量死したという。
翌年の1912年にも天然ダムは再決壊し、山崩れも発生したというから、相当な規模であった。現在では砂防工事により、かつての大災害後が残らないほど復旧している。なお、稗田山の山崩れがなかった南側斜面の一部は、白馬乗鞍スキー場となっている。