労働基準法ってどんな法律?
労働法の中でも、最も需要で、かつ、広く雇用に影響を与える法律が、労働基準法です。最初に制定されたのは、戦後間もない昭和22年ですが、その後、社会の雇用情勢の変化に合わせて繰り返し法律の改正が行われています。
労働基準法は、敗戦によって新たに制定された日本国憲法の第27条第2項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」と規定したことに沿って、新たに制定されたものです。
この法律は、事業者が人を雇い入れて、「労働者」として働かせる場合、その条件を適正なものにするために作られました。その基準の「ありかた」は、労働基準法第1条第1項に、
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営む為の必要を満たすべきものでなければならない」
と、はっきり書かれています。
少し、難しい言い回しですね。なぜ、こんな分かり切ったことを?と、現代のわたしたちは不思議に感じてしまいます。
しかし、歴史を振り返ると、戦前から、終戦までの日本の「労働者」は非常に過酷な条件の元に、「人間らしさ」のかけらもないような扱いをうけてきました。体を壊したり、けがをしたりしても、十分な保障が受けられないばかりか、はなはだしい場合は、不要になった道具のように捨てられたり、命を落とすことさえあったのです。
この、大きな原因は、雇い入れている側に、労働者に対する人権を尊重する意識がなく、人として対等であるという認識が持てていなかったところにありました。日本国憲法の制定で、基本的人権の尊重ははっきりと書かれたものの、実際の労働現場では、もっと具体的なルールが必要です。
働いた人が、労働の正当な対価である賃金を、遅れることなく受取り、更に過酷過ぎる条件や過重労働、雇主側の事情による一方的解雇、強制労働などの不適切な労働を規制して、労働者と雇主の関係を調整して、安心して働くことのできる条件を整備することが、労働基準法の役割になっています。
労働基準法では、労働の現場における具体的な取り決めを細かく決めるとともに、これに違反した場合は、罰金を始めとする刑事罰も与えられるように定めています。