男女雇用機会均等法ってどんな法律?
近代国家としての歩みを始めたばかりの、大日本帝国憲法の日本は、男尊女卑の古い伝統を引きずった国でした。そのため、労働の現場でも、女性と男性には、はっきりとした差別があり、全般的に女性の賃金は安く選挙権も与えられず、社会的地位も低いという状況が続いていました。
この状態は、敗戦後、日本国憲法の元に「男女の法の下の平等」がはっきりと書かれるようになっても、雇用の現場では変わりがなく、「女性だから」という理由で、「仕事を断られた」「希望した部署に配置されなかった」「管理職に就けない」「賃金が安い」「経営が苦しくなると、男性よりも先に整理解雇の対象になる」といった不利な立場にありました。その結果、雇用現場での責任を持つ立場は男性ばかりが占めることにつながり、そのため女性特有の生理的事情である月経や、結婚後の妊娠、出産などに関する理解が進まず、ますます職場における女性差別を解決できない悪循環を生み出しました。
この「職場で女性が差別されている状況」は世界的に見て、非常に問題がある、とされて日本は世界各国から、女性差別撤廃条約への批准を求められます。憲法では男女の差別はないものとされて、男女間で働くことに差別があることは違法なのに放置している、と世界中から非難を浴びたのです。
そのために、まず「勤労婦人福祉法」が、その後改正されて「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」という法律が制定されました。
ここで、ようやく、「女性だから」を理由に、労働の上で男女の差別をしない、という法律的な条件が整ったということですね。
これらの法律の、不十分なところ、時代に合わないところは何度も改正されて、2006年には「改正男女雇用機会均等法」と呼ばれる法律が施行されています。現在は、募集の際「女性のみ」にすることや、女性だけを厚遇することの禁止、セクシュアル・ハラスメントに関する要綱、妊娠・出産を理由とする解雇の禁止なども盛り込まれたものになっています。