法定労働時間を超えれば25%以上の割増賃金
労働基準法では、「労働者を働かせて良い時間」を、「休憩時間を除き1日8時間、週40時間以内」と決めています。この規定の時間のことを「法定労働時間」と言います。労働基準法は、この法定労働時間を超えて労働者を働かせることを原則的に禁止しています。本来の時間内に収まるように、労働者の仕事内容を調整したり、人員配置を調整して、基本的には、法定労働時間内に収まるように働かせることを原則としています。
それなのに、なぜ、残業(時間外労働)があるのか?というと、法律では、各事業所ごとに、労働者と雇主が協議したうえ、一定のルール(規則)を設けて時間外労働を行うことに合意した場合に限って、残業を認めているからです。この取り決めが36条協定と言われるもので、これによって決められたルールが「就業規則」と呼ばれるものです。それも、繁忙期など、やむを得ない事情があり、労働者側が残業に合意した場合、「やってもいいよ」ということであって、「いつでも雇主の都合で残業させたい放題」ということではありません。
残業(時間外労働)は、法定労働時間を1分でも超えれば、時間外労働としてカウントされます。時間外労働には、時間外労働手当が加算されて、通常の賃金に25%の割増賃金を上乗せして払わなければなりません。これも、労働基準法によって、規定されています。
本来なら法定労働時間内で納めなくてはならないところを、余計に働いてもらっているわけですから、その分は、労働者にとっては余分な負担を強いられることになります。その分を割増賃金として上乗せすることで慰労するという意味合いがあると言われています。雇主側は、極力残業を発生させないで働かせるような努力を求められます。
労働者側も、残業手当を目当てに、故意に通常業務の時間をダラダラ働いて残業手当を増やすような働き方は認められません。
残業は本来の労働時間で収まる努力を労使ともに行っても、どうしても間に合わなかったとき、やむを得ず認められるもの、というのが本来の概念なのです。