懲戒処分などの罰則は会社が自由に決めてもいい?

懲戒処分などの罰則は会社が自由に決めてもいい?

懲戒処分は、不始末を起こした労働者に対して、雇主が責任を追及し反省を求め、今後繰り返さないために行うものです。懲戒処分の程度と内容について、法律が細かく規定しているのは公務員だけです。一般の民間企業の場合、懲戒処分の内容や実施の方法などについては、各事業所ごとに、個別に決めたものを就業規則にも明記して労働者に周知したうえで実施されるという決まりになっています。

さて、その、懲戒処分の「内容」、「各事業所が個別に決める」ということは、「どんな内容でも自由」ということになるのでしょうか?

法律では懲戒処分の内容を事細かに指示はしていません。これは、個々の事業所独自の、個別の事情に基づく違いがあることを考えて、ある程度の幅を持たせることで、それぞれの事業所が対処をしやすくする目的から、このようになっているのです。

「何でも自由に決めて良い」といっても、労働者の尊厳を傷つけるような処分だったら、パワハラ、モラハラになってしまいます。あまりに業務内容からかけ離れて、無意味な作業を延々と行うような処分は、労働意欲の低下につながって、反省を促し繰り返さないための処置としての効果が薄れてしまいます。ましてや、「社長の趣味丸出し」といったような、何をさせたいのか分からないような内容と方法では、懲戒処分としての意味をなさないばかりか、単なる「職権濫用」ということになってしまいます。

そこで、多くの場合、懲戒処分は、公務員向けに規定されているものをお手本にして、それぞれの事業所で必要な内容を個々に取り決めていくことになります。

懲戒処分の内容は、大きく分けて「職を失うもの」と、「在職のままのもの」の2つがあります。後者は起こした不始末に応じて段階的に、決められます。もっとも一般的に行われるのが「訓告」や「始末書の提出」ですが、「始末書を何枚書かせても、全く懲りない」という社員に対して「罰掃除」「草むしり」等の労働的なペナルティーを科す程度は、許容範囲でしょう。とはいえ、これも、終日ずーっと行わせるというのは行き過ぎとなります。