遅刻・欠勤への罰金は違法?

遅刻・欠勤への罰金は違法?

遅刻欠勤といっても、その内実は、さまざま。家族の急病で病院に付き添わなければならない、とか、身内が突然事故に遭った、などで、対応が必要というような「やむを得ない事情」もあれば、「飲みすぎて」「忘れ物を取りに帰って」「やる気が出なくて」といった、無責任な場合もあります。前者の場合は、本人の責任とばかりは言えませんし、同情の余地もあるでしょうが、後者のようなケースで、それも度重なって遅刻、欠勤を繰り返したうえに、謝罪もできない、なんてことになると、「社会人としての自覚に欠ける」と言わなければなりません。

社会人になったら、仕事を休んだり遅刻したりというのは、マナーだけでなく契約という面でも非常に「ゆゆしき事態」ということになります。労働契約は、「決められた時間を働く代わりに賃金をもらう」という約束ですから、「決められた時間」を守らないということは、厳密に言えば労働契約違反ともとられるわけですね。労働基準法では、働かない時間については賃金を払う必要はない、というノーワークノーペイの原則を定めています。つまり、遅刻や欠勤をすれば、当然その分、給料が減給されることを覚悟しておかなければなりません。

そんなケースについて「遅刻したら罰金!」という事業所も実際にあるようですね。「減給は仕方ないけど、罰金なんてひどい!」と言いたくなる人も多いのではないでしょうか?

労働基準法では、「遅刻したら罰金を取ることは違法」という明確な規定はありません。
懲戒として、減給をする場合の基準を、1日の平均賃金、1か月の平均賃金の半分を超えてはならない、という決まりがあるだけで、減給についても、「してはいけない」とは書かれてはいません。

しかし、あくまでも、減給ができるのは、「就業規則に罰則規定を定めている場合」という決まりは定めています。就業規則にしても、明確な根拠や基準がなく、例えば「社長の判断で」なんていうような、曖昧な内容ではダメです。罰則は、勤怠状況が思わしくないことに対するものであって、致し方ない正当な事情がある遅刻までを一律に禁止しては困ります。そこで就業規則の内容についても労働基準監督署が必ずチェックを入れるという段階が入っているわけですね。

遅刻の罰金については、外国人研修生に過剰な減給を行って違法とされた判例もあり、厳格な判断がされています。