労働保険と労災保険の違い
労災保険とよく似た言葉で「労働保険」というものがあります。名前が似ているために、混同されていることも良くあるようです。労働保険と労災保険は、どちらも国の制度で、労働者の支援を目的に運用されています。ここでは、両者について詳しく調べてみましょう。
労災保険とは、「労働災害に遭った労働者を救済する目的で、休業補償や治療費などを補てんする保険」です、労災保険は使用者(雇主)側に加入義務があり、一人でも労働者を雇っていれば加入することが義務付けられます。保険料も全額使用者(雇主)負担となっています。ただし、実際に納付される保険料は、それぞれの労働者が受け取る賃金に所定の割合をかけて算出されるため、ひとりひとりで額面は違ってきます。
労災保険で扱える労働災害は、通勤災害と業務災害の二つがあります。労働者は労働災害に見舞われた場合、このどちらか適合する方に認定されると保険給付を受けることができます。使用者(雇主)側は、労働者が労災申請を希望したときは、協力しなくてはならないとされ、労災申請を妨げることは違法行為となります。
一方、労働保険とは、「労災保険と雇用保険の二つをまとめたもの。」です。労災保険と雇用保険はそれぞれ別々の取り扱いとなり、個々のケースに応じて運用されています。
雇用保険は、雇主に加入義務がありますが、保険料負担は、雇主と労働者にそれぞれ按分(あんぶん)されて払う形になります。按分の割合は業種によって違いますが、使用者側が大部分を負担し、労働者の負担する金額はごくわずかになっています。
雇用保険は、労働者が失業したとき、および、失業中に労働力の質を向上させる目的の教育を受けたときなどに、給付を行うことで労働者の生活の安定を図る目的の保険です。発足当時は「失業保険」と呼ばれていましたが、複数回の改正を受けて現在は雇用保険という名称に変わっています。
労災保険と雇用保険はそれぞれ、別々の保険として運用されていますが、保険料の納付は一括で行われています。