自己都合退職と退職勧奨による退職の違い
景気が悪くなってくると増える、といわれるもののひとつが「退職勧奨」です。「肩たたき」などとも言いますが、仕事を辞めるつもりがないのに、「辞めてくれないか。」といわれるのは気持ちの良いものではありませんね。辞めなければならない事情がないのなら、仕事を辞するタイミングは、自分の気持ちで決めたいものです。
退職は、その理由によって「自己都合退職」と「自社都合退職」に分けられます。女性に多い「寿退職」「出産退職」などは、典型的な自己都合退職です。最近では「介護退職」というのも増えてきています。その他、「労働者側の事情で辞める」ものは、全て自己都合退職になります。自分の都合で会社を「辞めさせてください」とお願いするわけですから、提出するのは「退職願」になります。
対する自社都合退職は、会社の業況不振であるとか、会社側から見て、社員の業務遂行能力や、適性などが合わず、これ以上雇っておくことが難しいと判断されたときに行われるものを指します。自社都合退職は、近年増加している「退職勧奨による退職」も含まれます。この場合は、会社の都合で辞めることになるので「退職届」を出すことになります。
ところが近年、リストラなのに「退職願」を出させて自己都合退職で処理させようとする会社が増加しています。リストラは整理解雇といって、解雇の一種ですから、本来簡単にはできません。自己都合退職の方が会社側の事務負担が少なくて済むので、わざと、こちらを書かせようとするのです。あまりに乱暴なリストラを行っている、と判断されると、労働基準監督署などから怪しまれる恐れも出てきますから、会社にとっては、都合が良いわけです。
しかし、言われるまま、退職願と書いてしまうと、自己都合退職扱いになり、失業保険を受給できるのが3か月後からになってしまいます。「自分の都合で辞めたんだから、その準備くらいはあるでしょう?」ということになるからです。
辞める労働者にとっては、非常に不利益が大きいことになります。
退職勧奨に応えての退職は、解雇と同様のものと理解しておきましょう。