退職金の請求権には5年の時効がある

退職金の請求権には5年の時効がある

賃金、給料、賞与など、雇主が労働者に払うべきお金は、多くの場合、後払いになっています。これは事務処理上煩雑にならないために、月締め後払いが認められているのですが、法律的に厳密な見方をすると「雇主が労働者に払うべき借金をしている」のと同じ状況になります。そのため、こうした「労働者に払うべきお金」は「労働債権」とよばれることがあります。労働者の多くは、この「労働債権」で生計を立てているので、これが滞るということは、生活に大きな影響を及ぼすことになります。賃金が払われないことは、文字通り、労働者の生存を脅かす事態になります。従って、民法、労働基準法を始めとする法律は、労働者に払われるべき債権は、最優先で回収がされるように定めています。悪質な不払いに関しては、厳しい罰則規定も作られています。

ただし、これらの労働債権の請求には時効もあります。「請求する権利があるのに、黙っているのは権利を放棄しているもの」とみなされ、賃金の請求は2年間で消滅時効となります。2年を過ぎた未払い、不払いの賃金は請求してももう、払ってもらうことはできなくなります。

ところで、会社から最後に貰うことになる「退職金」の時効はどうでしょうか?

退職金の時効は、労働基準法115条により、給料・賃金などより少し長く、5年になっています。労働基準法が適用されない、船舶所有者や、公務員の場合も、それぞれ船員法、会計法、地方自治法により、退職金の時効を同じく5年としています。

退職金の支払いは、退職金規定がある場合は、退職後7日目までに支払うのが原則とされています。支払いは、必ずしも現金でなくても構わないことになっていますが、小切手などで渡された場合は、早めに換金する方が望ましいです。

退職金は、退職後の生活の基礎になる大切なお金です。「会社の台所事情が厳しいから、ちょっと待ってくれ。5年間は大丈夫だから。」などの引き伸ばしをもくろむ会社も多いようです。しかし、原則は、退職後7日以内です。こういう交渉には乗らないで、すぐに払ってもらうようにしましょう。