日々の残業時間は1分単位で計算されなければいけない

日々の残業時間は1分単位で計算されなければいけない

残業をした場合、時間外手当と言って通常の賃金よりも高い金額で賃金計算がされる決まりがあります。(法定時間外労働の場合は除く)つまり、雇主側から見ると、「余計に支払いをしなくてはならない。」ということ。これは、ストレートに経営的にはお金に関わってくることになります。

ところで、残業手当の計算の基礎になるのは、タイムカードですね。これを見てみると、多くの場合、きっちり「6:00」なんて感じに、分単位で0が並ぶなんてことはほとんどないことでしょう。大概「6:02」とか「5:58」とか、中途半端な時間に仕事が終わるということになるのが普通だと思われます。こういう細々した1分単位の時間を、毎月のように計算するというのも面倒なもの。雇主側から見たら、それだけでなく、ちょっとでも人件費のコストカットがしたいのが本音です。「1分単位なんて面倒だから、5分以下の時間はカットしてしまおう!」なんてことをしでかした場合、これってOKでしょうか?

もちろん、原則論から言えば、完全にNGであり、労働基準法違反となります。なぜなら、例え5分であろうと、労働者は働いているからです。雇主は労働者に対して、働らかせた分に相当する賃金を「全額」払わなければなりません。雇主が事務処理の煩雑さを理由に、自分の都合だけでこれをカットすることは、全額支払いの原則に反することになります。たとえ1分単位であっても働かせた分を勝手にカットしてはいけないのです。カットされた分が自動的にサービス残業となってしまいます。

しかしながら、一人や二人の労働者ならまだしも、人数が多い会社では、1分単位おろそかにせず、と言われると現実的に大変です。このような場合、事務処理を簡素化するために、端数の1分単位を処理するためには、労使間での協約を結び、あるいは、就業規則に記入して周知するなど、所定の手続きを行い、労働者にとって有利な方法での処理を行うことについては認められています。