労働者死傷病報告とは
労働者死傷病報告とは、労働安全衛生法97条で定める、雇主が提出を義務付けられている書類の一つです。これは労災と別のもので、労災に該当する場合は、そちらも併せて提出が必要になることもあります。労働者死傷病報告の提出先は労働基準監督署になります。所定の書式があり、紙で入手するほか、オンラインでの電子申告もできるようになっています。
労災手続きをしても、労働者死傷病報告を行ったことにはなりません。業務災害の場合、ほぼ、全部が報告の対象になりますが、通勤災害の場合は、報告の対象には当たらないため、提出は不要で、労災の適用のみとなります。また、労災には当たらないが、労働者死傷病報告には該当する、というケースもあります。就業中以外の時間でも、事業所の建物、事業所に付属する施設、敷地内で怪我をした場合は、報告対象になるのです。例えば、「休日に、社員親睦のための、レクリエーションで会社の体育館でバレーボールをしている時に、誤って着地に失敗し、骨折で2週間休んだ。」などの場合は、対象となります。
労働者死傷病報告が必要になるのは、「労働者が業務中に怪我をしたり、中毒や病気にかかったために、死亡した時、または、休業が必要になった時」です。これは法律で義務付けられた手続きですから、雇主は、該当する事態が起こったときは、速やかに労働者死傷病報告を提出しなくてはなりません。休業の日数が4日未満の時は、1,2月、3,4月、というように、2か月おきの期間に区切った報告書の提出が求められます。
これらの書類の提出は、決められた書式があり、それに必要事項を書き込んで、所轄の労働基準監督署に提出をします。法律上「〇日以内に」という取り決めはありませんが「遅滞なく提出すること」とされていて、目安としては、概ね1〜2週間以内には報告書を出さなくてはいけない決まりになっています。提出を怠ると、労働安全衛生法の罰則規定により、罰金などの罰則が適用される恐れもあります。