営業成績が悪い社員を解雇するのは違法?
突然、会社から、「キミの営業成績は悪すぎる!来月づけで解雇にするから。」と言い渡されてしまった!営業成績が思わしくないことは事実だけど、それは、自分に限ったことではないことが分かっているし、そもそも、この不況の時代、どこの会社だって業況そのものが落ち込んでいることも確か。それでも、会社側から解雇を申し渡された場合は、クビを切られてしまうもの?
もし、こんな状況に陥ったら、「理不尽だ!納得できない!!」と感じてしまいますよね。でも、カッとなって、上司や社長に食って掛かるのは、あまり良い方法ではありません。なぜなら「営業不振を理由にした解雇」には、違法な可能性が多分にあるからです。
まず、会社側が解雇事由(解雇の理由)として「営業成績の不振」を会社の就業規則に明記していなかった場合、「営業成績が不振だから」という理由では原則的に解雇はできません。営業成績以外に深刻な解雇事由に該当する他の原因がある場合は別として、会社が営業成績の不振を解雇事由に上げることそのものが、合法ではない、という判断になります。
では、「就業規則に営業成績の不振が解雇事由になる。」と明記されていれば、解雇は認められるのでしょうか?
これも、営業成績の不振=即解雇という状況にはなりません。
確かに、会社側には、「労働者を解雇する権利」(解雇権)が認められています。しかし、これも、「解雇できるから」と好き勝手に首切りを断行されたのでは、まさに、職権乱用となり、労働者にとって悪影響が大きすぎるため、会社側には「一定の条件に該当する場合、解雇しても良い」という形での行使が義務付けられています。
解雇は、「客観的に、解雇に値する合理的な理由がある」「社会通念に照らして解雇が相当だと判断される」という場合に限って認められ、更に、そこに至るまでに「解雇を回避する努力」を会社が行った場合に、初めて認められるという決まりがあるんです。
つまり、営業成績を上げるための段階的な指導や、場合によっては、他の部署への配置転換などを行い、会社側の努力を上回るほど、労働者側の能力が極端に著しく不十分で、それが、今後も改善される可能性がほとんどない、と思われる場合であっても、解雇を回避する努力をしないで、即解雇ということは認められていません。