裁量労働制とはどんな制度?
裁量労働制とは、「労働時間の管理を労働者自身の自主性にすべて任せる」という労働時間の管理制度のことです。裁量労働制には、2種類あって、専門業務型裁量労働制と、企画業務型裁量労働制に分かれます。裁量労働制は、法律上では、みなし労働時間制の適用対象でもあります。
労働時間の管理を全て労働者の自主性に任せるというのは、労働者自身が、自分の労働時間のスケジュールを自分自身で組み立てて、それにしたがって働く、ということです。賃金の支払いについては、実際の労働時間が何時間であろうと、労使協定で定めた時間働いたものとみなして賃金を支払う形となっています。裁量労働制では、原則的に、何時間働いても残業手当はつきません。これだけを見ると、一見、労働者に不利なようですが、反対に「所定時間未満しか働かなくても、給料は所定時間分貰える」という場合もありますから、必ずしも損ばかりとは言えません。
また、出勤不要の条件を付しているところでは、在宅勤務や、時には会社の所有する厚生施設を利用しての労働が可能というIT企業もあったりします。川の中で釣竿をたれながら、水に足を浸して膝の上にラップトップ、wi-fiルーターを使って仕事を送信、なんて働き方も、裁量労働制ならばこそ可能といえます。IT産業やクリエイター系などの時間の流動性が高い業務ばかりとは限りません、ご家族の介護のために通常勤務では難しい、という事情で、裁量労働制の仕事に転職する方も増えているようです。
裁量労働制では会社側は、労働者の労働時間について一切の指示は出せません。言葉は悪いですが「やるべきことをしっかりやっていさえすれば、その他は本人任せ」とも言えます。
しばしば、休日、休日出勤手当、深夜手当も出ないという誤解をされていますが、これらについては通常勤務同様に労働者側には取得の権利があり、雇主側には与える義務があります。