協調性がないことを理由に解雇されるのは違法?
解雇は雇主が一方的に労働者との雇用契約を解除することです。解雇をされると労働者は、その翌月から収入の道を絶たれることになるため、解雇は、最後の最後に行うべきというガイドラインが設けられています。
解雇には正当な理由がなければ行ってはいけない、という決まりがあり、しばしば、この「解雇理由の正当性」が問題になることがあります。労働者が会社のお金を横領着服したなど、明らかに労働者側に落ち度がある場合は、懲戒解雇となるのは当然と言えますが、「協調性に欠け、企業秩序を乱した」という理由だと、解雇の正当性の判断は個々の案件により、「不当解雇だ!」と、労働者側が解雇理由の正当性を巡って、企業と裁判で争われることがあります。
協調性がない、という言い方だと漠然として良く分かりませんね。これまでに起こった実際のケースから、いくつか「協調性のない行動」の代表的なものをとりあげてみますと、
「些細なことで興奮しやすく、ちょっとした注意や指摘にも激しく感情的に反応し、上司や同僚に対して人格を傷つけるような言葉で口論する。」
「間違いを指摘されると憤り、他人のせいにしたりして、自己のミスを受け入れようとせず責任転嫁を繰り返す。何度注意されても、同様の態度を改めようとしない。」
「業務上必要とされている引き継ぎ連絡や、申し送りを完全にしないでいて、どれほど改善のチャンスを与えても全く向上がない。」
「周囲と協力して物事を行おうとせず、独善的に業務を進めてしまうため、同僚や上司に常にフォローされているのにもかかわらず、反省の様子が見られず、当然であるかのような態度を取る。」
読んでいるだけで腹立たしく感じてしまいそうな人物が浮かんできますね。しかし、これだけで解雇にしようとしたら、多くの場合NGです。これらは、まだまだ序の口で、会社側にはまだ、労働者側に教育を施し、チャンスを与え、配置転換など必要な措置をとって、反省、改善の機会を与える必要があります。そこまでしてみて、最後通牒(さいごつうちょう=最後通告)を行い、「これが出来なかったら辞めてもらう」と言い渡して期間を置き、なお、ダメだったら初めて解雇、というのが、理想的なステップのようです。協調性が無いことそのものは、解雇理由にはなり得ますが、それで解雇されるには、長い道のりがあると言えるかもしれません。