就業規則で副業を禁止しても違法じゃないの?
不況でサラリーマン所得の落ち込みが続く中、「本業だけじゃ食っていけない。」と、土日勤務のアルバイトに応募が殺到するご時世です。一方で、「会社の就業規則で副業を禁止しているから、やりたくてもできない」という事情をお持ちの方も多いようです。
どこの家庭でも台所事情が厳しい中、「副業を禁止する法律は存在しないんだから、就業規則で副業を禁止するのは違法じゃないのか!?」と、鼻息の荒い意見もあるようです。
確かに副業を禁止している法律は2014年現在の日本国内で施行されてはいません。従って、副業を禁止するか否か?は各事業所ごとの就業規則によって左右されることになります。雇われている側としては「会社が生活できるだけの賃金を払ってくれていないんだから、副業を認めるべき!」というのが、前述の意見の背景にあるのでしょう。
これは、昨今判断が分かれる事項で、一口に是非だけを語るの難しいようです。
まず、雇主側としては、労働者に対して「職務専任義務がある」として、「1日8時間働いたうえで、余力があるはずないから、副業は認められない」と主張します。ところが一方で裁判所の判断では「職務専任義務は労働時間に限られたものであり、退勤後や出勤前の時間はこれに当たらない」と、労働者の自由時間までを就業規則でしばりつけて副業を禁ずることは合理的ではない、と正反対の判決になったケースもあります。このケースでは、就業規則で副業を禁じた条項が無効と判断されました。
といっても、これは訴訟にまで進んだケースでの話で、このような判決があったからすべての企業が就業規則について判断を同じくするわけではありません。個々の会社ごとにどんな対応をするか?までは、直接影響があるとは言えないのが現状です。会社側と意見が分かれてしまったときは、極論を言えば、いちいち訴訟してみないとどちらの言い分が通るか分からない、というのが現実です。
このような背景を考えると、法律上の可否よりも、事業主の判断が事実上の決定を左右してしまうと言えそうです。とはいえ、内職やアフィリエイト、クラウドソーシングを利用したネット副業、など、在宅で行えるものについては原則規制対象外ですから、このような方向で副収入を得ることは禁止されていません。