休職制度の適用がない解雇は違法じゃないの?
休職制度とは、会社が労働者の病気や怪我を理由に、一定期間の労働を免除する制度です。休職期間中は、仕事はしないものの、その事業所に雇われている身分や地位に変更はなく、解雇の心配もありません。休職期間中は安心して治療に専念でき、回復すれば、復職することができます。万一回復が思わしくなければ、休職期間の満了をもって、自動的に退職という扱いになります。これは、働いている側からみても、かなりありがたい制度です。
ところが、
「通勤中に交通事故に巻き込まれて、仕事ができなくなったら、一方的に解雇された!」
「仕事とは無関係な悩みでうつ病になって、入院が必要になったと話したら、解雇に…。」
「病気が見つかって、手術が必要となったら、クビになった!」
なんて感じの、「休職制度の適用を受けられないで、解雇になった!」という事例もないではないようです。病気や怪我は降ってわいた災難のようなもので、自分には責任がないのに、何で休職制度が適用されないんだ!?と腹立たしくなりますよね。
過去の判例を見ると、もし、就業規則に休職制度があるのであれば、これを適用しないということは違法に当たります。まず、自身で会社側に確認を行い、それでも、明確な説明がされないときは、労働基準監督署等に相談してみると良いでしょう。
就業規則が無いような小規模の事業所であれば、休職制度そのものが存在していないという可能性はあり得ます。その場合は、私傷病による労務不能を理由にした普通解雇は法律上認められていますので、違法には当りません。
常時10人以上労働者が働いている事業所規模であって、就業規則が無い場合は、そのことそのものは違法です。しかし、休職制度がない、という事態そのものは変わりませんから、やはり、私傷病での普通解雇が言い渡された場合有効ということにはなってしまいます。
休職制度は元来、事業所が提供する解雇猶予の一つであって、法律上の定めはありません。従って、休職制度がない、または適用されないといっても、必ずしも違法とは限りません。