割増賃金の算定方法、調整手当は除外される?
残業や休日出勤の際に払われる割増賃金の計算をするときに、はて?と首をかしげたくなるのが、「各種手当」の存在です。なじみ深いもので言えば、「住宅手当」「通勤手当」既婚の方には「家族手当」。時に、賃金体系が変わったりしたときには「調整手当」、特殊な業務を受け持った場合は「技術手当」「資格手当」なんて言うのも払われるときがあるようですね。
割増賃金は、基礎になる金額に、所定の割合を掛け算することで算出されます。ですから、基礎になる金額が大きいほど、割増賃金の額も大きくなります。これは当然、労働者側はちょっとでもたくさん貰いたい、払う側はコストを抑えたい、という心理が働くのも無理はないですね。手当の額によっては、合算すると金額が大きくなりますから、含めたくない気持ちも起こりそうです。
しかしながら、割増賃金の基礎になる賃金については、「賃金に算入していい手当」「算入してはいけない手当」が、細かく決められています。
その基準は、名称がなんであるか?ではなく、実体としてどのような扱いになっているか?が大きな分かれ道です。労働に関連性のあるものは、全て賃金として取り扱い、その他「臨時的なもの」「労働とは無関係な個人的事情によるもの」は除かれます。労働基準法では、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、一カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)は、含めなくて良い決められています。
調整手当は、一定期間、賃金と一緒に、月々払われるものであること、もともとの賃金とに差額が生じることなどで払われるものですから、もとはといえば、賃金です。そうすると、これは割増賃金の基礎に算入する必要があります。このほか、当直を行ったことによる当直手当や、技術手当、資格手当、危険手当なども労務によって生じる賃金と解釈されます。反面、通勤手当や住宅手当、家族手当については、労働とは関係のない、会社の配慮と理解されるため、賃金には含めなくて良いことになります。